ちょうどおまかせ建設会社をたずねた一か月後のことだった。

あの時は、松本氏に
「おまかせ建設会社に言いたいことがあるんやったら
拓也くん自身が中山専務に言ってあげて。
その方が対応はうまくいくし、向こうも勉強になるから。」
たきつけられて
私たち夫婦と、デザイナーのアドルフ坂井氏と松本氏で
おまかせ建設会社に時間をかけて出向いたのだが
向こうは顧客が苦情を言いに来たことを知っているはずなのに
迎え入れる準備すらしていなかったことを思い出す。

しかも、対応すると言っておきながら
結局、そのまま連絡もしてこないありさまだった。

そんな上から目線のおまかせ建設会社だったのに
朝に中山専務(息子)から

「中山社長が謝罪に行きたいと言っている」

と連絡してきたので、驚いた。
満月会長がうまく話をしてくださったのだ。
私がいくら言ってもスルーしつづけたのに

満月会長の威力はすごいなぁとた思った。
満月会長が動くように働きかけてくれた吉野さんにも
本当に感謝した。

しかし、
「この会社は、人を見て動くんだな。
力のある人の言葉にはすぐ反応するのに
力のない客のことは、なめてかかっているのだな。」
ということを改めて思い知ることになったのは
皮肉なことだった。

こちらも急な話で予定があったが
急遽予定をキャンセルすることにして、
16時に私の自宅に社長がきてくれるという段取りがついた。

予定より15分遅れで
おまかせ建設会社の社長の
(本工事の建築士・工事監理者でもある)中山社長がうちに来た。

出席者は私、妻、私の母、吉野さん(家が遠いのでオンライン参加)

おまかせ建設側は、中山社長、中山専務、
山本建設部長、スロービィ建設・森田推進部課長 だった。

まず、私が、
工事が大幅に遅れているのはなぜなのかということと
工事で疑問に思っていることについて、話をした。

私はマンションの耐震構造について
疑問を持っていた。
大きな地震はいつ起きるか予想がつかない。
これから建てるマンションは
耐震性が問われると考えていたから
そこはきちんとしたかった。

社長から説明があったが、
その説明とは
「懇意にしている松本コンサルタントの紹介だったから
渡辺さんのマンション建設を引き受けたが
渡辺さんがデザイナーを指定したことで
いろいろややこしくなり、もめたのです。」
と、私がデザイナーを指定したことが悪いのだとばかりに
責任転嫁してきただけで、
工事の遅れの理由説明にも
耐震性の問題についての回答にもなっていなかった。

そもそもデザインについては、
私は坂井氏のデザインでマンションを建てることのできる
建設会社を探していたのだ。
デザイナーが決まっている案件だったのだ。

それを承知で、建築を引き受けたはずだ。
「そのデザイナーのデザインでは建てられない。」
と言われたのに、無理に建築を頼んだわけではない。

話がそれそうになって困っていたら
オンライン参加の吉野さんが
話をもとに戻してくれて

「現在、建築の竣工を前にして、
色々なトラブルがあるので、
どんな問題があるのか
課題とは何か、というのをしっかりとお互いが認識をし、
それに対して解決策を求めていかなければならない。」
と軌道修正をしてくれた。