おまかせ建設会社が私に
設計図などを渡してくれない以上
私は、別の手段を使って書類を手に入れるしかない。

そこで、おまかせ建設会社が提出しているはずの確認申請書の公開を
確認検査機関に問い合わせたのだ。
ここは、図面も設計の詳細も把握しているはずだから。

確認申請は、どんな建物かを行政に伝える為に
図面を付けたりするので、
厚みも5cmほどになるかなりのボリュームがなる書類である。

おまかせ建設会社が図面や設計図を私にくれない以上
この確認申請をみれば、一目瞭然と私は考えたわけだ。

しかし、結果は、門前払いだった。
確認検査機関は、けんもほろろに、こう言い放った。

 「確認申請書類は行政の書類なので、
  たとえ建築主でも見せることはできないものです。
  どうしてもみたければ
  副本を申請者(おまかせ建設会社社長)に渡しているので
  それを確認してください」

 「でも、おまかせ建設会社は私に見せてくれないのですよ。
  耐震偽装しているのではないかと疑っておりまして
  確認したいんです。
  見せていただけないなら
  この工事は耐震偽造がされていないかしっかり検査して下さい!
  お願いします」

 「そう言われましても、こちらは対応できませんよ。
  私ども検査機関は、施工会社から事前に報告書を受け取って、
  中間検査、完了検査は現地に行って確認するだけなんです。
  建物の監理は本来の業務ではございません。
  そんな時間も人手もありませんしね。
  渡辺さんは、工事のチェックに期待されているようですが、
  そのご期待にも添いかねます。
  1~2日しか調査員は行きません。
  現場では、工事監理者・施工会社や、報告書をみて、
  図面と同じようにできているか確認するだけですよ」

  「え、そんな!
  建物が欠陥としても、完了検査が通るってことですか?」
と私が驚いて聞くと、

 「うーーん。欠陥がある建物であるかどうかは、
  こちらには分かりません。
  ハウスドクターではないのです。
  現状では、完了検査の申請が施工会社から出てきたら、
  調査して合格を出すという業務を粛々と行うだけです」


行政が全ての建物を完璧に調査はできないのは
理解できないこともないけれど
じゃ、誰が耐震偽造を見抜いてくるんだろう?
それは行政の仕事ではないのだろうか?
と私は、とても憤った。

指定確認検査機関は「行政仕事をしている」といっても
施工会社を相手にしているので
施主の意見より、施工会社の肩をもつようだ。

 設計&監督と施工を一緒にすると
こういうところにも弊害が出てくるのかと
愕然とした。
だからおまかせ建設会社はのうのうとしていられるのか。
不正がばれることないのだなと、悔しかった。