建築会社と戦う男の物語

「訴訟額2億1000万!?新築マンション投資失敗ブログ」 を小説に書き換えた、サブブログです。

私は渡辺拓也と申します。
脱サラをし、
不動産投資に取り組みました。

しかし、人生の全てをかけた新築マンションを
建ててくれた建築会社と、現在裁判で係争中。
マンションも手に入れていません。

そんな私の失敗談記録を公開した
「訴訟額2億1000万!?新築マンション投資失敗ブログ」
を開始したのが2021年5月でした。

その中味をわかりやすく
ノンフィクション小説として書き換えたのが
このブログです。
こちらのブログもよろしくお願いします★

2022年08月

賃貸マンションを建築するにあたって
師のように思い、
家族ぐるみの付き合いであった
不動産コンサルタントの松本さんにコンサルタントを頼み
マンション建築予定地も購入した。

だから
実際にどのようなマンションを建てるかの相談の際
「おまかせ建設会社」を松本さんが推してきたことを
無視するわけにもいかなかったという事情もある。

その「おまかせ建設会社」の営業と会うことにして
私たち家族は、駅前の喫茶店で待ち合わせをした。

 「はじめまして!
 松本コンサルタントから話は聞いています。
 私は、おまかせ建設会社営業部長の安田と申します」

いかにも営業に長けているという感じの
営業部長が私たちをにこやかに出迎えてくれた。

でもいい感じだと思ったのは名刺をもらって
挨拶をされたときだけであった。
それ以降は、安田さんが一方的に話を進めていったからだ。

ファーストコンタクトは
安田さんの簡単な自己紹介と
おまかせ建設会社の会社概要や施工例などの説明
そして、そこから
私がどういうマンションを建てたいかという
要望を話すという感じに捉えていた。

ところが、全くそんな感じではなかったのだ。

挨拶もそこそこに
既に私が賃貸マンション建築を
おまかせ建設会社に依頼することが決まっているような
感じに話が進んでいったので
私は戸惑いを隠せなかった。

初めて会ったのに
こちらの要望を聞こうともしない。

建設会社の営業は、発注者の要望を丁寧に聞き取り
会社に持ち帰り
見積もりを出すのが
正式な流れではないのだろうか?

こちらとしては
いくつかの会社に相談し、
いろいろ比べて一番フィーリングが合う会社に
建築を依頼したいと考えている。
デザイナーにもこだわりがある。
デザイナーは絶対譲れない条件なのである。
だからおまかせ建設会社は、
建設会社候補の一つでしかないのに。

しかし、私の話を聞く耳を持ってくれなかった。

話そうとすると
言葉をかぶせるようにして
松本コンサルタントが
 「そのことは、いいねん。
 私からちゃんと伝えてあるし
 後で確認もするから」
と私が話すことを制止してしまう。

初めての雰囲気に飲まれてしまって
事実上私は固まっていた、と今では思う。
それに、私と松本コンサルタントの人間関係上
松本氏の言葉を無視して話すことができなかった。
それで私は心の中ではもやもやしているのに
営業部長の話を聞くしかなかった。

松本コンサルタントは、
デザイナーのことを伝えていると
言っているのかもしれないが
それだけでなく
自分自身が直接聞きたいことがいろいろあったのに。

マンションを建てる場合のおおまかな流れは

マンション設計(設計士)
 ↓
マンション工事(施工士)
 ↓
工事監理

となるので
現地調査の後、
まずは設計図を作成してもらう必要がある。

構造・設備の初期提案をしてもらい、
建物の外壁や内部の仕上げ、
外構の材料などのカタログやサンプルを揃え
施主と検討しながら決定して、
設計をしてもらうのだ。

その時には、打ち合わせ内容を忠実に盛り込んだ上
そこから
意匠図・構造図・設備図・各詳細図など
細かい部分も詰めた図面を作成してもらう必要がある。

その他にも
天井、展開図、家具図、建具表、外構図など
大量の図面を作成してもらわなければならない。

その設計が終わり
行政の許可(確認申請)をへて
「施行」の段階に入る。

「実施設計図面」を元に
施工会社へ見積り作成依頼を行うことになる。

施工会社は、
この実施設計図面と仕様書をもとに
見積もりをおこない、
この図面に基づいて建物を作る。

設計図をもとにして建物を建てるのだから
設計図が詳細な内容になるのは当然のことだ。

建築中は、設計図面の通り工事が進んでいるか
工程に遅れがないか、
施主の意向を採り入れた建物を建築しているか
監理をしてもらうこととなる。

基本的に「設計した者」と「工事を監理する者」は
同じになる。
それは設計図を一番理解している人が
ちゃんとその図面に従って工事ができているか
監理することが合理的なためだ。

大手の建築会社では
この3つの流れを全部扱っている会社もあった。
しかし本来なら、この3つは別なので
設計と監理は同じ会社に頼んで
施工は違う会社にする方が
よかったかもしれない、と今は思っている。

松本コンサルタントに
 「他の建築会社の話も聞きたい」
とお願いすると
高い見積もりを持ってきて
 「こんな高い会社には頼めないでしょう?」
 「安くてクオリティが高いのは、
  おまかせ建設会社ですよ。」
 「おまかせ建設会社は、
 デザイナーの件も対応できる」

と、おまかせ建築会社一辺倒で、
そこしか薦めてこなかった。

他の建築会社と接触できないのでは
話も進まない。

それで、
 「じゃ、とにかく
  おまかせ建設会社に話だけでも聞きましょう」
というスタンスで、
おまかせ建設会社との顔合わせを
セッティングしてもらうことになった。

土地契約は
松本さんの紹介でA仲介会社を通して行われた。
土地代は4000万円かかった。
全額自己資金で用意したので
コンサルタント料と合わせて、相当な出費となったが、
これもまあ、理想のマンションを建てるための
必要経費であるだろうと理解した。

私は土地を手に入れたことで
最初の大きなハードルを越えたと思った。

いよいよ建築会社を決める段階に入ったぞ。

建築会社については、
私の予算や理想にぴったりの
建築プランに出会いたかったため
できるだけ多くのハウスメーカーを接触して
比較しようと思っていた。

松本コンサルタントは、
「建物概略計画案」をコンサル契約する前に見せてくれたが
それは、自分の知り合いであるおまかせ建設会社が
サービスで作ってくれたものだと
説明してくれていた。

その案をたたき台にして
ハウスメーカー巡りをしようと考えていたのだが
なんと松本氏は、
ハウスメーカー巡りはしなくてよいと言い出したではないか。
「建物概略計画案」をつくってくれた
「おまかせ建設会社」を猛烈に推してきたのだ。

その「おまかせ建設会社」の名前は聞いたこともなかったし
私には譲れない条件があったので躊躇した。

それは建物デザイナーのことだった。

松本氏とはコンサルタント契約を結んでいたが、
実はデザイナーは知人に頼もうと思っていたからだ。

その知人のセンスのよさは抜群で
大変私好みだった。

これから賃貸マンション経営をする私は
普通のマンションではなく
自分が住みたくなるマンションを建てたいと
ずっと考えていて
建てるならハイセンスデザイナー建築事務所の
アドルフ坂井デザイナーに建物のデザインを頼むと決めていた。
アドルフ氏にも内諾を得ていた。

だから、それに対応してくれる建築会社にしか
施工を頼めないのだ。


そこで、松本コンサルタントに
 「このデザイナーでの建物をつくりたい、
  それの対応が可能な施工会社を探してください」
と伝えたら、
松本氏はにやりと笑って
  「おまかせ建設会社は、デザイナーの件も
  対応できます」
と即答したのだ。

松本貴之氏と結んだコンサルタント契約は
以下のような内容だった。

★土地の取得の取り計らいをする。
★土地活用のプランニングを立てる。
★周辺市場環境調査をする。
★収支概算書の作成
★よりよい金融機関の選定と融資申込
★建築物の基本計画及びデザイン作成。
★設計、施工建築会社の選定
★建築物の建築確認の見届け
★建築物工事の見届け
★家賃の策定及び入居募集窓口の選定
★賃貸経営管理及びアドバイス

これらを300万円で請け負ってくれるというのだ。
通常300万円の商品を買うときには
(コンサルタントも商品として考えれば)、
相見積もりをとることだろう。

しかし、このときは私は松本コンサルタントを
尊敬していたし信用もしていた。
家族ぐるみでといってよいほど親しくなっていたので
300万円が高いのか
この契約内容でいいのかさえ
検討せず、言われるがままに、全額先に支払った。

マンション建築がどんどん具体化してきたので
私は浮かれていたといってよいだろう。

しかし、この委任契約書は大変ずさんなもの
ということが裁判沙汰になってから判明する。

弁護士に相談に行って分かったことであるが、
委任計画書もずさんだし
支払いも
委任契約の場合、
基本、支払いは後払いだそうである。
つまり、業務が全て終わった段階で払うのが普通なのだそうだ。
先に払ってしまうと、
まともに業務を行わなくなる可能性が高いそうである。
私の場合もまさしくそうだった。
 
知らなかったことはいえ、
私は契約段階で松本氏に全額を払ってしまった。
このことから私は蟻の巣地獄に落ちるように
松本氏の罠にひっかかって
どんどんおかしな方向にいったのである。

私の失敗はまずここが第1の分岐点だったと思う。

松本さんは、私にマンションの
「平面図・面積表・日影図」
を見せてくれた。

図面はどういう立場の人が書くものかさえ
当時の私はよくわかっておらず
松本さんが簡単に素案を書いてくれたのかぐらいに思っていた。

「ん?この会社の名前は何だろう」

松本さんの見せてくれた図面には
「おまかせ建設会社」という名前が入っていた。
私が知らない会社がなぜ
私の物件の図面を書いたのだろう?と
純粋に疑問に思った。

しかもその建設会社のことについて
松本さんからも説明を受けていなかったので
知らない建設会社の名前が記入してあることは引っかかった。

松本さんにそのことを訊ねると
 「ははは。私が図面を書くことはあらへんよ。
  この建設会社は、私と付き合いのある会社で
  今まで何棟も同じようなマンションを建てているので
  私とつきあいがあるから、
  サービスで図面を描いてもろた(もらった)」
と松本さんは答えてくれた。

それで
「あーサンプルみたいなものか」
と特に不審に思わず、
図面を受け取った。

それらの図面をもとに、松本さんと、
間取りや、建物の方角等の計画案を検討し
その相談と並行して
私はさまざまな条件を考えた上で
松本さんに提案された土地を購入することに決めた。

私はわくわくしていた。
本格的に不動産投資に乗り出すのだ。

土地を購入すると、
賃貸マンションを建築することに向けて
いよいよ建築会社を決めて契約することになる。

私には、知合いの建築士や工事会社もなく
進め方もよく解らなかったため、
引き続き松本さんに
建築会社選定についても
協力・助言をお願いすることにした

ここで正式に松本さんとコンサルタント契約を結んだ。
契約は、300万円ほどで、
私は、委任契約にも関わらず、
言われるままに契約締結直後に、
その報酬の全額を支払った。

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