建築会社と戦う男の物語

「訴訟額2億1000万!?新築マンション投資失敗ブログ」 を小説に書き換えた、サブブログです。

私は渡辺拓也と申します。
脱サラをし、
不動産投資に取り組みました。

しかし、人生の全てをかけた新築マンションを
建ててくれた建築会社と、現在裁判で係争中。
マンションも手に入れていません。

そんな私の失敗談記録を公開した
「訴訟額2億1000万!?新築マンション投資失敗ブログ」
を開始したのが2021年5月でした。

その中味をわかりやすく
ノンフィクション小説として書き換えたのが
このブログです。
こちらのブログもよろしくお願いします★

2022年10月

とはいえ、すんなり引き下がったわけではない。

私は、たった一枚のメモでの2500万円要求に納得できず

「こんな、ザックリとした内容だけで、払えるわけない、
ちゃんと何がどう変わったか明確に説明してください」
と説明を求めた。

「請負契約時に2億1000万円と金額を決め、
この時点で銀行からの融資額は決定しているし、
今さら、2500万円の追加を、と言われても
急にはこんな大金の工面はできません。
松本さんは、つぶさに私のマンション建築の様子を
みてこられたじゃないですか?
土地購入、古家解体、それらにも
相当お金を払っているのです。

そもそもデザイン案は
仮契約前の、2年も前に内容を伝えていますよ?
それも込みで請負契約を結んだはずです。
その上言うに事欠いて
人材不足で遅延?
そんな事象は織り込んで計画を立てるべきでは?
納得できません!
払えません」

建物建築の契約は、もう締結されており、
現在進行形で建築が行われているのに
急にそんな多額の金額、どうやって捻出しろというのか?

本人を前にして言えなかったが
松本さん、あなたのコンサルトの代金にも
私は300万円払っているのですよ?

ただでさえ、契約上の完成予定日から大きく遅れ
入居者募集もストップをかけている状態で、
こちらの経済損失も大きいのに!
と憤っていたら
松本コンサルタントは不敵な笑みを浮かべ、
「お母さんお金もってるやろ?借りたら?」
と言ってきた。

ドキッとした。

以前、
松本さんとコンサルタント契約をするときに
ある程度のこちらの資金事情を伝えてしまっていた。

コンサルタント料も、
土地代(古家解体費用も必要になった)も必要だし、
建物建築費用の予算も伝えないといけなかったからだ。

その情報をもとに、コンサルタントとして
資金計画をたててくれたはずなのに、
大した説明もせず、多額の想定外の追加金を請求するなんて!

それまでも
松本さんが最初に立てた資金計画に載っていない
想定外の費用は色々発生していた。

不動産所得税、火災保険料、
入居者募集のための広告掲載費。

建物建築の際には、
本体工事費や付帯工事費以外に、
多少の追加料金は発生することがあると聞くが
このコンサルタントの予算見積もりは、
どれだけ杜撰な内容なのだろうか!

建築素人の発注者にもわかるように
必要と思われる金額は
最初の資金計画にきちんと載せて説明するのが
コンサルタントの仕事ではないのか!


「拓也くん、拓也くんが指定したあのデザイナーがな、
いっぱい変更をゆーて(言って)きたらしいねん!
その指示を入れたら、仕様変更ということになり
追加変更になるんよ。
そこは追加料金ってことになるわな。

建築途中でデザイナーが、
変更依頼をバンバンかけてくるんで
現場もてんてこ舞いになっていて、
パニック状態で困っているらしいよ。
ただささえ、震災の後に
オリンピックで人手が足りないのよ~!」

と、松本コンサルタントは
建築会社なら最初から把握していたと思われる人材不足と
(急に建築業者の人材が少なくなったわけではない)
私がデザイナーを自分の知り合いに頼んだことが
原因であるかのように責めてきた。

そして、あたかも自分が追加料金を請求するのは
当たり前だろ?という高飛車な態度だった。

建築を依頼した場合
追加が発生したら
当初の請負契約時の金額と変わってくるので
その都度説明するのが
間に入るコンサルタントの役目ではないのか?


話を要約すると
松本コンサルタントの言い分では
アドルフ坂井氏に私がマンションのデザインを頼んでいたので
そのデザイナーがどんどん変更依頼をしてきたから
その分が追加料金として2500万円分にもなっているらしい。

私は、仮契約の前から、
つまり松本コンサルタントにマンション建築をしようと思うと
初めて相談したときから
マンションデザインは、
坂井氏のハイセンスデザイナー建築事務所に依頼するということを
条件としてあげていた。
そして、その上で、そのデザインで施工することのできる建設会社を希望した。
そのため、松本コンサルタントが薦めてきたおまかせ建設会社にも
「デザイナーとはしっかり連絡をとってほしい」ことを頼んでいた。

坂井氏が請負契約後工事が始まってから何か指示をした
という話は、私は坂井氏から聞いていなかったが、
松本コンサルタントとの話の中では
実際、坂井氏がどれだけ仕様変更を指示したのかは
その場では確認できなかったし、
妻絵理菜はとにかく、松本コンサルタントに怒っていた。

「追加変更で金額がアップするなら
施主にその都度そのことを伝えるのが
コンサルタントの役目じゃないんですか?
なのに、急にいきなり、こんな高い追加料金を要求するなんて
常識では考えられないです!」

だが彼はコンサル契約を交わしている私たちの立場など一切考えず、
おまかせ建築会社の代理人のように言い訳ばかりして、
最後は
「ま、追加がこんなに発生しているんだから
自分の思うようなマンションを建てるためには
必要経費と言えるのではないですかね。
建築に追加発生するのは
よくあることやしね」
と、はぐらかし、
当日の喫茶店では、その話の真偽は確認できなかった。

私は、マンション建築工事の不備について
間に入ってくれている松本コンサルタントと話をしたかったのだが
私と妻が席について、その話をする前に
喫茶店で待っていた松本さんから
青天霹靂の話が切り出された。

「渡辺さん、言いにくい話やねんけど
追加工事費が
2500万円ほど発生してますねん」

マンション工事がうまくいっていないことで
頭がいっぱいになっていたので
全く違う方面から攻めてきた
松本さんの「追加工事費」の意味が
にわかに理解できず、
別次元にいるような感覚に襲われた。

混乱して黙った私に松本コンサルタントは
書類を一枚ぺらっと出してきた。
「ここに書いてある追加工事の代金です」

え?どういうこと?
この人、何の話をしているの?
2500万円の追加工事???

2500万円の追加工事の内容が
約20項目書かれてはいたが
正式な明細書ではなく
エクセルで項目を書き、
それらの金額を記載しただけのものであった。

会社名も書いていないし、罫線も飛び出ている。
書類としては稚拙なもので
とてもちゃんとした社会人が作った資料とは思えない。

具体的にどんな工事を追加したのか
追加・変更工事の詳細も書かれておらず
追加された物の、数量・単価・仕様などの
明細内訳は何も記載されていないものだった。

つまり、項目と金額だけのメモだった。

開いた口がふさがらないとはこのこと。
呆れたあと、怒りがこみ上げてきたが、
抗議したい気持ちをぐっと抑えて、
まず、そんな追加が発生した理由を聞こうと思った。




2019年6月、工事現場を訪問した時
建築中の建物に
設計図面と異なる部分や、
構造強度上の不備があるのを私が発見した。

①小梁の位置が設計図より
 30cm程ずれている箇所が、複数ヶ所あった。

②コンクリートの大梁・小梁の数ヵ所にコア抜きがされて
 内部の鉄筋が切れていて、
 その部分の鉄筋が錆びていた。

③構造スリット部のタイルに伸縮目地がなく、
 また、平面図に記載された構造スリット部分にスリットがない。
 平面図に記載されている完全スリットがないことに
 大きな疑問が感じた。

④1階住戸のバルコニーに、雨水が冠水して
 室内の床全体に流れ込んで浸水して、
 施錠されていた玄関ドアの隙間から外に流れ出ていた。

ひどく驚いて、
「この状況をおまかせ建設会社に連絡しないといけない。」
と私は思ったが、
その行動を思いとどまった。

素人目にもわかるずさんな工事をしていることに
プロが気づいていないわけがない。


構造上の疑問が出たことを連絡しても
私が建築に関しては素人であることを盾に取って
建築会社は、うまくごまかしてきて
丸め込まれるのではないかと思ったからだ。

どうすれば、相手にきちんと対応してもらえるだろう?
と、考えあぐねた。

そのや先、松本コンサルタントから、
「打ち合せしたい事がある」
と連絡があったので、
そのことを訴えるよい機会だと思って、
松本コンサルタントが待つ喫茶店に向かったのだった。

上棟日は、3月21日に予定されていた。
当初予定より3ヶ月は遅れ、
完成予定日すら過ぎているが、
それでも初めての儀式なので
ちょっとどきどきしていた。

建築における三大儀式と呼ばれる地鎮祭、上棟式、竣工式のうち
木造建築の一戸建てとは違い、
マンションの場合は、上棟式、竣工式より
地鎮祭を行う業者が多いと聞いていたが
うちの場合は、地鎮祭は行わなかったので
少なからず、上棟式には期待をしていたのである。

初めのマンション建築の実感を味わえるものだと思っていた。

けれども実態は、上棟日と聞いていたのに、
上棟式は行わず、
最上階のコンクリートを施工しただけで
肩透かしをくらった。

しかも
現場確認の後に
おまかせ建築会社から
「上棟時分の7500万円を支払ってください」
と請求されたので 
その足で、地域センター信用金庫ベシニティ支店におもむき
振り込みで支払った。

この時に打合せが行われ、おまかせ建築会社から
今後の工程表をもらった。

出席した人
発注者:渡辺拓也・妻、絵理菜
    請負者:おまかせ建設会社営業部部長 安田武雄
                建設部部長
                建設部課長
同席者:松本貴之コンサルタント

それまでの工事の大幅な遅れについて説明を求めたが
理由の明確な回答はなく、
「急いで進めます。」という返事のみで終わった。

そのまま完成予定の3月下旬が過ぎた。
私はあせるしかなかった。

入居者募集は中断したが
それより、いったいマンションはいつ建ち上がるのか
詳しい説明もないのだから
不安でたまらない。
自分で工事の進行状況を確認するしかなかった。

4月末にはコンクリートの躯体ができていて
1階から3階あたりまでの内部工事が行われていた。

しかし、大工さんに聞いても
現場監督(おまかせ建築会社)に聞いても
完成がいつになるのか明確な返事をもらえず
全く予想もできない状態が続いた。

再三にわたる催促で、
やっと工程表がメールされてきたが
「工事完成予定は6月10日」とかいてあって
愕然とした。

「どうしてこんなに大幅に遅れているのか」
と松本さんやおまかせ建設会社に抗議したが
何を言っても、のらりくらりした対応で
私は途方に暮れるしかなかった。

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