建築会社と戦う男の物語

「訴訟額2億1000万!?新築マンション投資失敗ブログ」 を小説に書き換えた、サブブログです。

私は渡辺拓也と申します。
脱サラをし、
不動産投資に取り組みました。

しかし、人生の全てをかけた新築マンションを
建ててくれた建築会社と、現在裁判で係争中。
マンションも手に入れていません。

そんな私の失敗談記録を公開した
「訴訟額2億1000万!?新築マンション投資失敗ブログ」
を開始したのが2021年5月でした。

その中味をわかりやすく
ノンフィクション小説として書き換えたのが
このブログです。
こちらのブログもよろしくお願いします★

2023年09月

止まることなく言い訳を続ける田中弁護士を
裁判長が制した。

「田中弁護士、そのへんで事情説明はおいておきましょう。
 まとめますが、
 今回の書類は、場所と数字だけで
 それが合っているかどうか図面の証拠は
 用意していないということですね?」

田中弁護士は悪びれることなく平然と答えた。

「今回の書類は、
 そうですね。数字だけです」
 
・・・文章では簡潔に書いているが
実際の調停では、
もっと中身のない、むなしい会話が続いているのである。

裁判長は、話を進めることにしたようだ。

「では、他にも質問があるので
 次に進みます。
 今は、追加があったかどうか、争点を整理しています。
 
 渡辺氏は、『追加工事はない』と言っている。
 おまかせ建設会社さんは、『追加工事はあった』と言っている。
  
 この食い違いを説明するために
 おまかせ建設会社さんは
 最初の契約の書類は、甲50号証であるので
 それを確認してほしいということでしたね。

 仮契約時と請負契約時は変化がなく、
 この甲50号証を、今の状態とを
 比較するのに使う、最初の書類ということでいいですか?
 この後に甲53号証という書類もありますが、
 追加工事の比較に使う、
 最初の状態は甲50号証を基準に考えるのですね?」

田中弁護士は頷いた。

「そうですよ。一番最初の仕様は甲50号証です。
 そこから追加工事したんですよ。
 この図面と比較して追加工事を確認してください」


裁判長は、田中弁護士には
これ以上何を言っても無駄と感じたのか
裁判に付されている一級建築士の専門委員二人の方に
複雑な表情の顔を向けた。

「専門員さん、書類をご覧になって
 状況が理解できますか?」

寺田専門員は、それまでの田中弁護士と裁判長のやりとりを
苦々しい表情で聞いていたが、

「これを書いた人(田中弁護士です!)は
 自分だけわかっているのではないでしょうか?
 少なくとも私にはさっぱりわかりません。
 意味不明な書類です」

と答えた。
その答えを受けて裁判長は、あごに手をやって
少し迷いながら、再び田中弁護士に質問した。

「大変失礼なことをお訊ねするのを許してください。
 まさかそんなことをしないなんて思っていないんですが
 念のために伺います。
 田中弁護士は、昨日裁判所に提出される前に
 この書類に書かれた内容を検証しましたよね?」

田中弁護士はぽかんと口を開けた。

「え?検証してないですよ。
 時間がなかったものですから。
 私、いろいろ案件を抱えていますしね」

裁判長の堪忍袋の緒が切れた。

「・・・・これ以上私たちがこの書類を見ても
ばかばかしいので、この件については
おいておきましょう」

田中弁護士の発言を聞いた一同は呆れてしまった。
さすがに空気を察したのか
田中弁護士は、言い訳を矢継ぎ早にまくしたてたが、
それすら、何を言っているのかわからなかった。



裁判長はどう説明してもちゃんと答えない田中弁護士に
言い方を変えながら、質問を続けたが、
次第に口調はきつくなっていくのを私は見逃していなかった。

 「見積書の順番と、
  今回の表の図面の番号が一緒なので、
  こちらが予測をするのは不可能ではないから、
  私たちが、番号で順番に見積書を見て、
  次にその主張と証拠を
  トランプの神経衰弱みたいに、
  書類から探して、それらをペアにして合わせていけばよいと
  田中弁護士は言いたいのでしょうか。
 
  それは裁判所の仕事ではないのですけれども!
  とにかく、どこに番号が出てくるかは
  裁判所の方で探すしかないとおっしゃっているのですね?」

 「あら。そんなこと言われても。
  私は、どうしましょうねぇ?」

何を言っても通じないと思ったのだろうか、
裁判長はため息まじりに、こう言った。

 「田中弁護士は、弁護士なのですから、
  こういった案件の書類の書き方を熟知されていますよね。
  せめて、何号証のどこを見よとか、
  書き方の工夫は出来ると思うんですけども、
  まあそれはしなかったということを認識いたしました。
  でもね、最低、
  『この証拠は何号証に記しています』ぐらいは
  ちゃんと書いていただきたいのですよ、田中弁護士」

 「私も、何もしてないわけじゃないんですよ。
  おまかせ建設会社の担当さんに
  どうすればわかりやすい書類になるか
  レクチャーしてるんですけどねぇ。
  こんな書類しか渡してこないんですよね」

書類は田中弁護士が作成したことになっているのに
自分も被害者のように、
平気な顔で言い訳をする田中弁護士なのだった。


阿吽(あうん)の呼吸とは
二人以上で一緒に物事を行うときの、
互いの微妙な気持ちが一致することである。

とても弁護士から発せられた言葉とは思えない。
それでも裁判長は、冷静に言葉をつないだ。
そういうところはさすがだなと感じた。
私は、はらわたが煮えくり返っていたから。

「今、阿吽の呼吸とおっしゃいましたね?
 書類に不備があるから、
 ちゃんとどの部分が証拠なのか示してほしいと私は言いました。
 100号証のどこにそれがあるかも、答えてくださらないのですか?
 そして、このわかりにくい100号証から
 『証拠は自分で勝手に探せ』という主旨の発言をされたのですか?」

田中弁護士は、頭をかきながらそれでも発言を訂正しなかった。

「以前から似たような図面を出していますので
 それでおわかりいただけたものと思っていますので
 後は阿吽の呼吸で探せると思うんです」

結局、田中弁護士は、
追加工事の詳細について
証拠をあげて説明する書類を作るということは全くしていないようだ。

自分が書いたわかりにくい書類を
「あうんの呼吸で読み取ってくれ」
と言ってのけるとは、
それで弁護士の仕事をしていると胸をはって言えるのであろうか??


 「田中弁護士の言葉が、まかりとおるのであれば、
 私からの『必要書類をください』とか
 『買い取り価格を知らせて下さい』という請求も
 阿吽の呼吸で読み取って、認可をお願いします」

と言いたいのを、私は必死で堪えていた。

裁判長は数字だけ書かれた書類を前に
何を質問されているのかも理解していない田中弁護士に
ゆっくり言い聞かせるような言い方で質問をした。

「たしかに書類には『バルコニーの面積は、7.5㎡』
 と書かれていますが、なぜそれだけ書かれているのですか?
 前後の説明がないので、それが追加の説明なのかなんなのか
 客観的に判断できないんです。
 その面積は、どうやって測ったんですか?
 図面も書類に添えられていませんし、
 数字だけ書いてあるだけなので、
 それが正しいのか確認できませんよね」

「それは、現場で確認するしかありませんね」

「えっ、そんなことないでしょう。
 田中弁護士は現場で確認して、計測してきたのですか?
 田中弁護士は図面から計算されたのではありませんか?
 図面から縮尺で計算して、7.5㎡と書いたのでは?」

「該当場所の特定だけしました」

「あの、大変失礼なことを申し上げるのですが
 田中弁護士が何をおっしゃってるのか、わかりません。
 7.5㎡と書いた証拠の図面はどこにあるのか
 お訊ねしたのです。
 該当場所の特定って、話の流れの中で出てきていませんよ。
 唐突にそう言われても何のことか理解しかねます。

 普通、こういう数字を出す場合、
 『その数字を出した根拠は書類のここを見る』と書きます。
 たとえば、100号証のA図面から、この数字を算出しました
 などの証拠を示していただかないと、
 こちらは、どこをみれば7.5㎡とわかるのか、わかりません」

田中弁護士は、突然裁判長の質問の意味を理解した!という顔をして
得意満面に答えた。
「100号証を見ていただいたら、全部謎が解けます。」

あっけにとられる裁判長・・・・・
 「どこを見たらそれがわかるのか、わかりません。
 だから田中弁護士に補足説明してほしいといっています。
 7.5㎡という数字の根拠がわかる部分は
 どこにあるかも、書類には書かれていないので
 100号証のどこなのか、教えてください」

根気強く同じ質問を繰り返した裁判長に対しての
田中弁護士の回答は一同が言葉を失うような仰天発言だった。

「それは、あうんの呼吸で、読み取って下さい」

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