建築会社と戦う男の物語

「訴訟額2億1000万!?新築マンション投資失敗ブログ」 を小説に書き換えた、サブブログです。

私は渡辺拓也と申します。
脱サラをし、
不動産投資に取り組みました。

しかし、人生の全てをかけた新築マンションを
建ててくれた建築会社と、現在裁判で係争中。
マンションも手に入れていません。

そんな私の失敗談記録を公開した
「訴訟額2億1000万!?新築マンション投資失敗ブログ」
を開始したのが2021年5月でした。

その中味をわかりやすく
ノンフィクション小説として書き換えたのが
このブログです。
こちらのブログもよろしくお願いします★

カテゴリ: おまかせ建設会社

おまかせ建設会社の中山社長と話し合ったとき
中山社長は
「渡辺さんがそんなにこのマンションに不満があるなら
うちで買い取りますよ」
と自ら言ったので、話し合いはそこで終わった。

そこからは
こちらから手紙を何度も送っても、全て無視するので、
買い取りを進めてくれるのか
それとも、工事をちゃんと進めてくれるのか
話し合いをしたいと思っていた。
だから、同時に行政にも動いてもらっていたわけである。

対価に相当する建物を建ててもらっていれば
ちゃんとお支払いするし
普通に契約は終了して
私も賃貸住宅の大家としての活動が始められたわけだから。

この頃になったら
もう工期の遅れとか
ご近所様に迷惑かけたこととか
文句言わないから
とにかく耐震構造のしっかりした
こちらが頼んだデザインの建物を建ててもらえば
細かいことのフォローはこっちでするから、
一日も早くきちんとした建物を建てて
引き渡してくれと思っていた。

2019年の12月頃の話だ。

裁判(訴訟)は、考えていなかった。
避けたかったというのが本音だ。
時間もお金もかかるし
穏便に話し合いで終わりたかった。

それで、「民事調停」を申し立てた。

「民事調停」は、当事者同士が話合いで問題の解決を図る裁判所の手続で
法廷で双方が争って裁判官の判決で解決を図る「裁判(訴訟)」とは違う。

民事調停では、
裁判所の「調停委員会」が
当事者双方の言い分を聴いて歩み寄りを促し、
当事者同士の合意によってトラブルの解決を図るというものだ。

訴訟よりも手続が簡易で、
解決までの時間が比較的短くてすむという利点がある。
当事者同士の合意を基本としているので
当事者にとって円満な解決が期待できる。

しかし、これにはデメリットもあり、
出席への強制力がないので
相手方が調停に応じるか否かは、相手方の自由となることだ。
相手方が故意に呼び出しに応じない場合でも、
相手方が欠席すれば調停手続を進めることはできない。

懸念はしていたが、調停日に、
おまかせ建設会社は不出頭だったので
調停が不成立になった。

そして、あろうことか
この後におまかせ建設会社から「訴状」が届いたのだった。
つまり、話し合いには応じず
反対に、私を訴えてきたということだ。

初めて受け取った「訴状」と書かれた書類には
かなりのインパクトがあった。

訴状を妻絵理菜と一緒に
冷や汗をかきながら読み進めたが、
添付されていた証拠の図面と、
追加変更工事一覧を見て、
冷や汗は困惑と怒りに変わった。

弁護士に相談しても
「この契約書じゃ、勝てませんよ」
とさじを投げられ、
おまかせ建設会社からは相変わらず返事が来ない。

そして、耐震偽装を隠蔽するようかのように
ご近所様への迷惑も顧みず
工事中止もしてくれないおまかせ建設会社。

私は万策尽きて
地方自治の責任者に
陳情書を提出することにした。

おまかせ建設会社からは
建築の詳細についての書類をもらっていないので
今までの経過報告を時系列にまとめたものと、
そしてかろうじてもらった、形ばかりの請負契約書。

それらを添えて、
 「この建設会社は
  一級建築士と名乗っているので
  ちゃんと都道府県に申請を出しているはずである。
  その内容を建築主である私がもらっていないという
  異常事態になっている。
  これからの監督責任は
  都道府県にはあるはずである。
  きちんと指導してほしい」
と書いた。

もはや行政指導にたよるしかないから、
これが最後の綱だと思った。

私が地方自治の責任者に陳情した陳情書は、受理され、
行政は動いてくれた。
行政が調査にのりだしてくれる!
解決の糸口が見えたと思った。

私は、とにかく耐震構造のしっかりした建物を建てたい、
その一念でいろいろ動いてきたのだが、
建築を頼んだコンサルタント
建設会社(設計~監査~建築)が、
私の知識がたりないことをいいことに
自分たちが儲かるように適当なことをした。

いくら話し合いをしようとしても
正当な要求をしても、取り合ってくれず
鴨がネギを背負ってやってきたとばかりに
自分が金儲けの食い物にされてしまっていたことを
今では十分自覚していた。

でも、建設会社が私たちにしていることを
白日の下にさらしたら
向こうの非はあきらかになるはずだ。

私の切り札は、その調査をお願いした陳情書であった。

でも、調査に入ってくれることになって喜んだのはつかの間だったのだ。
調査に動き始めて指導が入ろうとしたとき
おまかせ建設会社は
トンデモナイ行動に打って出てきた。

 「依頼主である渡辺拓哉は
  私どもの建設会社にマンション建設を発注しておきながら
  経費を支払っていない。
  請求しても払わない。
  だから、おまかせ建設会社は被害を被っているので渡辺拓哉を訴える」

弁護士を立てて宣言してきた。

行政は、おまかせ建設会社が私を訴えてきたことで
「民事不介入」と言って
動きをとめてしまったのだった。

行政はもう調査してくれないとわかったとき
私は慟哭した。

痛烈に指導してほしかったのに。
そんな理不尽な建設会社の仕事を
行政は調べてくれないのか。
調べさせないように、
裁判に打って出たおまかせ建設会社の狡猾さに
はらわたが煮えくり返った。

しかし、これは私の戦いが始まる序章のプロローグに過ぎなかった。
これから先も何度も煮え湯を飲まされることになることは
このときは、まだ予想できなかった私であった。

2019年9月、
やっとおまかせ建設会社から郵便が届いた。

私のマンションの買い取り価格のことかと思ったら
中身は、請求書だけだった。

①工事代金残額約4000万円払え。
(金額だけで、工事の完了日、引渡し日の記載はなし)

②追加変更工事費2500万円払え。
(金額だけで、内訳明細書は添付されていない)

③開発工事代金400万円払え。
(請求書のみで内訳明細書は添付されていない)

④給排水工事引込工事代金450万円払え。
(同じく、内訳明細書は添付されていない)

私の要求に対する返事をせずに
4種類の工事費の請求をしてきた。
4つとも、項目と合計代金のみ。
明細なし、説明なし。

というより
中山社長は私が引き取れないなら
中山社長がマンションを買い取ると言って
それで話し合いが終わり、解散したじゃないか。

買い取りの話がまるでなかったように
私との請負契約はそのまま進んでいて
お金の請求だけしてくるというのは
話がまるでつながっていないではないか。

この状況で
「合計7350万円払え」とだけ言われて
払う人がいるわけないでしょう。

その請求書をみて、驚き、怒りを禁じ得ず
私はすぐにおまかせ建設会社に

①工事は完了せず、引渡しも受けていないので、
工事代金残額費用は払わない。
そもそも工事が完了したという報告すらない。

②追加変更工事費などは、
内訳書もなく説明も受けていないので、
合計金額だけの請求書は、正式な請求と認めない。

③それより今まで何度もこちらが要請している
「工事費内訳明細書」・「確認申請の副本・設計図一式」
などを直ちにこちらに提出してほしい。

ということを書面で申し入れた。
電話だと「言った」「言わない」というもめごとにつながるので
しっかり証拠を残すために。

ま、想像に難くないと思いますが
それについても
おまかせ建設会社からは
何の連絡もなかった。

私の家に来てまで話し合いをしてくれたのに
その内容が反故にされていることにも驚くし
明細のない合計金額だけ書いた請求書を発行する企業が
あるということに、とても驚いた。

合計だけ請求されたら、小学生でも
「このお金、何に使ったお金?」
と明細を訊ねると思うけれども、
こんな話が商売の世界で通じると思っているところに
大きな疑問を感じた。

このように
私が以前お世話になっていた
「賃貸住宅経営の会」の講師の吉野さんの力をお借りして
おまかせ建築会社と知り合いでもある
「賃貸住宅経営の会」の会長満月さんに口利きをしてもらって
おまかせ建設会社社長と
私の自宅で行った話し合いは終わった。

一番の問題は
設計図も工事工程も施主に渡してくれないし
工期はどんどん遅れていっていること。

次は、突貫工事を進めるおまかせ建設会社の態度。
施主の望む設計ではない建物であるばかりか
耐震構造に非常に問題がある建物を造っていること。

しかし、
オンラインで参加してくれた吉野さんの力で
「渡辺さんがこのマンションを引き取れないというのなら、
うちで買い取ります」
という社長の言葉を得ることができた。

これで事態を打開できたと思ったけれど、
私たちはおまかせ建設会社に裏切られ
「買い取りの話を社長自ら出してきた」ことなどどこへやら
月が変わっても、おまかせ建設会社から
いくらで買い取ってくれるのか、何の連絡もなかった。

何度もおまかせ建設会社に連絡をしたが、
なしのつぶてだった。
おまかせ建設会社は沈黙した。

私は、おまかせ建設会社からの返答を待ちながら
今までにどんな問題があったのか整理してみた。

①設計・監理の業務契約書、及び重要事項説明書が存在しない。
②工事契約時の図面や仕様書を受け取っていない。
③瑕疵担保履行法に基づく説明や必要書類を受け取っていない。
④契約時の工事費内訳明細書を受け取っていない。
⑤確認申請の副本を受け取っていない。
⑥設計図一式を受け取っていない。
⑦工事監理者からの工事中の報告などを全く受けていない。
⑧工事中の変更・追加工事費の内訳明細書を受け取っていない。

おや、整理してみると
受け取っていないものだらけだ。

これは自分自身の勉強不足だったと
私は頭を抱えた。

餅は餅屋、の言葉を地で行ってしまい、
私は建築のことには素人なので
建設会社と契約すれば
ちゃんと私の望み通りの建物を建ててくれると信じていて、
私はろくに確認もしていなかった。

でも、本当は、
こんな人生をかけた契約をするときには
人任せにしないで
自分でもしっかり確認をしないといけなかったし
自分の疑問に応えてくれない業者には
委託してはいけなかったのだと
今さらながら深く反省したのだった。

吉野さんが、軌道修正してくれた後、
そこから、今の一番の課題である、
耐震構造ができていないことについて論議した。

中山社長は
 「耐震構造?
  そんなこと心配しなくていいです。
  私は一級建築士の資格をもっているし、
  構造計算の資格も持っている。
  大丈夫に決まっている」
と話を抑え込もうとした。

中山社長が資格を持っていようが、持ってなかろうが
そんなことは目の前の問題と関係がない。

私のマンションの耐震構造ができていなければ
話にならない。
今は、具体的な話をしてほしいと考えていた。
私としてはデータや図面で
堅固な耐震構造を備えていることの説明をしてほしかった。

中山社長は
私の言葉にかぶせて食い気味で押さえ込んでくるので
なかなか言葉をはさめずに困っていると
リモート参加の吉野さんが
 「中山社長の意見対応が非常に曖昧です。
  大丈夫だとか、大丈夫じゃないという表現が非常に多いが
  そんな曖昧な言葉でなく
  ちゃんと具体的な話をしてほしい」
と突っ込んでくれた。

吉野さん、ありがとう。さすがです。

その一言で中山社長が黙ったので
私も話しやすくなったのだった。

一か月前に会社に出向いて話しあいをした時は
社長は同席していなかったので、
聞いていないかもしれないと思っていたから
そのいきさつを簡単に説明し、
 「そのとき中山専務は、
  『会社としてのしかるべき対応方策を二、三日中に示す』
  とおっしゃったのにも関わらず
  いまだに専務から返事をもらっていません!」
と、私も妻も抗議した。

でも、それに対しても
のらりくらりと話をそらして
なぜ中山専務が会社としての回答をくれなかったのかの説明すらしてくれなくて、
耐震構造についての疑問も解消できなかった。

私たち夫婦が何かを言うと、
中山社長は、肝心な内容にはふれず
ピント外れな言い返しをしてくるだけなのだ。

そんな中、吉野さんがしびれを切らして
 「この建物は絶対に危ないです。
  そんないいかげんな建物建てておいて、
  施主にこれ以上何か費用負担させようとするのはおかしいし
  こんな建物を引き渡ししてもいいものかどうか
  とても疑問を感じます。
  この問題はおまかせ建設会社自身の威信に関わる問題ですよ!?
  もっと真剣に考えて下さい」
と言ったとき、中山社長が突然
  「最悪、施主Pが、
  このマンションを引き取れないというのなら、
  うちで買い取ります」
と言い切ったのだ!

耐震構造についての答えを得ることができず
困り果てていたので
私たちは、それを聞いて、
これで解決の糸口が見えたと思った。

耐震対応の答えをくれないのなら
それも解決方法の一つだからだ。

それで、それを了解して、
 「早い時期に買取り価格を提示してほしい」
と要請してこの日の協議を終えた。

この時のやり取りは録音して文字に起こしてあるが
本当にひどい。
吉野さんが何度も軌道修正してくれていなかったら、
何も結論が出ていなかったと思う。

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