建築会社と戦う男の物語

「訴訟額2億1000万!?新築マンション投資失敗ブログ」 を小説に書き換えた、サブブログです。

私は渡辺拓也と申します。
脱サラをし、
不動産投資に取り組みました。

しかし、人生の全てをかけた新築マンションを
建ててくれた建築会社と、現在裁判で係争中。
マンションも手に入れていません。

そんな私の失敗談記録を公開した
「訴訟額2億1000万!?新築マンション投資失敗ブログ」
を開始したのが2021年5月でした。

その中味をわかりやすく
ノンフィクション小説として書き換えたのが
このブログです。
こちらのブログもよろしくお願いします★

カテゴリ: マンション工事

松本コンサルタントに
仮設事務所を作らないのかと訊ねると

「コスト削減しないとあかんからね、
仮設事務所を作ることは考えてませんのや。
細々とした所でコストを減らすことで
拓也くんの払う金額を少しでも安くしようと頑張ってるねん。
綿密な連絡を欠かしていないから、心配ないで」
と豪語していた。

車も路上駐車が多く、そのことを言うと
「大丈夫。ちょっと停めているだけだし、
通行の邪魔にはなっていないので」
という答えだった。

それらは全部その場しのぎの言い逃れで
実際には多大な迷惑をご近所におかけしていたわけなのだが。

コンサルや建設会社には、はらわたが煮えくり返っているが
ご近所の皆さんには
いくらお詫びを申し上げても足りないくらいだと
頭を下げ続けたい。


問題がこじれていったので
私の手には負えないと感じ始めていた。

そこで私は、よい弁護士を求めて
弁護士事務所5軒ぐらいに相談しにいった。
でも、話をすると、どの弁護士もお手上げ状態だとおっしゃる。
原因は、契約書にあった。

私の持っていた契約書は、
「四会連合協定」という
一般的な請負契約に使われるテンプレートで書かれたもので、
通常観念における契約書ではないと指摘された。

この契約書の前提として、
設計&監理と施工が別と書かれているところが
話にならないくらい問題なのだと言われた。

建物に関わる工事請負契約書は
本来、設計図書や内訳明細書がつき、
100ページ~300ページとかなりなボリュームになる。
しかし、私の契約書は契約書と約款のみで、
20ページぐらいしかない。

本来は契約書に、
設計士が設計して、施工会社が見積もりをした時、
根拠となる図面を付けたり、
見積もりや、見積もりの根拠となる明細書
(壁紙が何平米か?ドアが何枚でいくらか?)
建物工事標準仕様書、瑕疵担保責任の表記などを明記しないといけない。

それが、私の契約書には何も記載されていない。
請負金額しか書いていないので
悪い言い方をすれば
何を使って何を作っても、いいことになってしまう。
さらにいくらでも追加金が請求出来てしまう。

実際におまかせ建設会社は
多額な追加料金を
明細も書かずに請求してきた。

どの弁護士からも
「なぜ、この様な契約書で契約をしようと考えたのか?
 建築会社がいいようにつくられているではないか。
 渡辺さんは、いいように言いくるめられたんですよ」
と、メチャクチャダメ出しを受けた。

マンションの設計図や書類を
おまかせ建設会社に請求してももらえず、
確認検査機関に見せてもらうこともできず
本当に最低な建設会社に依頼してしまったという激しい後悔が
私を襲っていた。

私は、中山社長が
「渡辺さんのマンションを買い取ってもよい」
という話し合いをする前のことを思い出していた。

それまでに私自身が
マンション建築をのぞきに行って
耐震構造に疑問を持った以外に
建築現場自身に大きな問題があると感じていたのだ。

そういう根本的な問題以外にも
私のマンション建築現場には問題があった。

とにかく現場が汚い。
工具やゴミ、タバコが散乱している。

大工が飲んだペットボトルなどもあちこちに散乱。
普通はその日の仕事が終わるときに
ゴミは持ち帰るものだと思うのだが
そういう意識は、この建設会社にはなかったようだ。

私がもらえていない図面が
現地の床面に散乱している。

それを拾って見ようとすると
建築作業員は、そういう行為だけめざとく見つけて
すごい勢いで私に近づき
「勝手にこちらの書類を、見ないで下さい!」
ひったくってきた。

今思えば、図面を私に渡していないということは
「私に了承を得ていない建物を建築していた」ということで
現場には詳細には説明されていなかったかもしれないが
「施主に建築図面を絶対に見られないように」
というお達しを出されていたのではないだろうか。

さらにいえば、
おまかせ建設会社が委託されて建てるマンションは
私に限ったことではなく
だいたいその「手口」で建築しているので
現場の大工達も慣れていたのではないかと
憶測してしまう。

信じられないことに
『法令許可書』も泥をかぶった状態で放置されていた。

工事業者が義務づけられている、
「建築確認済証の概要掲示板」看板の設置をしていないから
近所の方は、何か質問があっても
苦情を言いたくても
直接職人に言うしかない。
普通なら施工会社に連絡をとるはずだが、
その連絡先がわからない状態になっているので、
職人に言う以外方法がないのだ。
職人に言いに行っても
無視し続けて迷惑をかけながら工事を進めていたことは
今までに詳しく記載したとおりである。

また、私のマンションの規模だと、
建築に関わる人のために仮設の小屋を用意し、
図面や資料をまとめて保管したり、
職人との打合せを行ったりするのであるが、
それも建てられることはなかった。

デザイナーの指示を取り入れず
自社の「標準パック」(自社独自で作成しているらしい建築)で
見積もりを出し
図面も見積金額明細も
施主には渡していなかったことを認めたおまかせ建設会社。

それどころかマンションの構造自体に
大きな問題があるのではないかと指摘したら
根幹部分が見えないように隠してしまっているのを見て
私は困り果てた。

工事を中止して欲しいという要請も無視。
工事の疑問にも何も返答をしてくれない。

私はわらにもすがる思いで
かつて参加させてもらっていた「賃貸住宅経営の会」
の講師をしていた吉野さんに相談をすることにした。

マンション経営をすることを決める前に
私はあちこちのセミナーに参加して
経営のノウハウを学んでいたのだ。

そこでは、大家としての心構えや
注意事項を教えてもらっていたので
建築のトラブルを相談することに対して迷いはあったが
吉野講師はとても気さくな方で
当時もいろいろ質問していたため
思い切って連絡をとり、話を聞いてもらった。
吉野さんは、
私がサラリーマンをしていた時に住んでいた県在住の方である。

吉野さんは心配してくれて
「それはかなりややこしいことになっていますね。
ただ、私は、渡辺さんのお住まいとは離れているので
そちらに見に行くこともできないし
具体的に行動を起こすことは難しいから
実際に賃貸住宅をたくさん所有しておられて
今渡辺さんのマンション建築地に
近い所に住んでいる人に相談するのが
よいかと思います。
とりあえず『賃貸住宅経営の会』の会長、満月さんに
相談してみたらどうでしょうか?」
とアドバイスをしてくれた。

それで、満月さんにこのことを相談したら、
なんと満月さんは、
おまかせ建設会社社長と知り合いだという。

私からのいきさつを聞くなり
「そんなことをしていると
おまかせ建設会社も信用を失う。
私が話をしよう!」
と言って、満月会長がひと肌脱いでくださることとなり
おまかせ建設会社の中山社長に
連絡をしてくださったのだ。

事態は急速に進展した。
さすがに満月会長の威光はすごかった。

満月会長ががおまかせ建設に連絡をしてくださったところ、
あれだけ催促しても
一ヶ月間、何も連絡をしてこなかったし
前は会社に呼びつけられたのに
なんと私の家に
おまかせ建設会社の中山社長が来ることになったのである。

おまかせ建設会社の中山専務と話をして
「会社の対応を2.3日中に書面で回答する」
と言われ、その書面を待っていたときに
ハイセンスデザイナー建築事務所の
アドルフ坂井氏から聞いた話は驚くべき内容だった。

今思えば、松本コンサルタントが間に入っていたことが
私が直接、坂井氏と話をするという選択をとらなかった理由だと思う。
言い訳になってしまうが
おまかせ建設会社に坂井氏も一緒に乗り込むまで
私は、あまりハイセンスデザイナー事務所に連絡をしていなかった。

「建築の方は、私がデザイナーと建設会社の橋渡しをして
ちゃんと進めるから
拓也くんは、部屋を満室にする努力をしておいてや。
こっちは任せといて。
分業して進めるのが、効率いいからな」
と言う松本さんの話を鵜呑みにして
賃貸経営者としての行動に専念していた。

最初に、マンションをどういうデザインにするかという
打ち合わせは念入りに行ったが
それ以降、そのデザインが反映された建築が進んでいるとばかり思っていたから
デザイナーに連絡をすることはなかった。

ただ、建築工事の遅れが気になり
様子を見に行って、いろいろ問題点があることに気づいただけだった。

おまかせ建設会社に出かけた時に
アドルフ坂井氏から聞いた話は耳を疑うものばかりだった。

「デザインの話は渡辺さんと詳しく話を詰めましたが
後は、松本貴之氏が建築会社との間に入るとのことだったので
それ以降は渡辺さんには連絡しませんでした。
私もこの業界で長く仕事をしていますが
それはもう、耳と目を疑うことばかりです」

ため息をつきながら、
坂井氏は今までの経緯、困りごとを説明してくれた。

(1)
おまかせ建築会社とはなかなか連絡がとれず、
やっと連絡が取れたときでも、
一度たりとも時間通りに打ち合わせに来たことはなかった。
30分、1時間待ちもザラ。
当日連絡なしでのドタキャンも、数え切れず、
来るだけましと考えるしかなかった。

(2)
私は日本で30年間デザイナーとして
いろんなゼネコンとやり取りしてきたが、
ここまで時間にルーズで、舐めた態度をとる会社は初めて。
普通の会社ではないと感じている。

(3)
施工図面が上がっておらず、
まだなのかと思っていたら、
デザイナー側の承諾もとらずに
エントランス回りを作り始めていた。
あわててデザインをみてみると
私がデザインしているものとは
違った施工がされている。
図面はないのに、作っている。

そもそも、図面がない状態で
どうやって作業を進めているか不思議。

(4)
現場に現場事務所がなく、
話をしたくても、落ち着いて話せる場所がない。
なんだかわからない図面が地面に散らかっていたり、
施工が間違っていたりしているが、
正しい指示をしている人間がいない。
監督責任が果たされていないのではないか。

(5)
「メゾネット部分の梁がずれているが、
施主の渡辺氏に説明しているのか?」
と現場監督の米村氏に聞いたら、
「それはもちろん、施主さまに説明します」
と答えたので、安心した。

しかしそれから約二か月たっても、
おまかせ建設会社から何も連絡がなかった。

梁がずれたら、デザインも変わるから
どうしても渡辺さんと相談しないといけないと思い、
私から渡辺さんに
「梁がずれていることで
デザインを変更しないといけないけれど
どうしたらいいのか、何も連絡がないから心配している」
と連絡したら
渡辺さんは、梁のずれのことを知らなかった。
現場監督は、梁がずれていることを渡辺さんに伝えておらず
ずれたまま、建築を続けていたことが発覚した。

(6)
あちこち穴が開いているが
鉄筋もろとも開けてしまっている穴に関しては、
むき出しになっている鉄筋が錆びることにより、
そこから浸食が進むことがあるので、
さび止めをきちんと施しているかを
渡辺さん自身の目で確かめた方がいい。


2019年6月、工事現場を訪問した時
建築中の建物に
設計図面と異なる部分や、
構造強度上の不備があるのを私が発見した。

①小梁の位置が設計図より
 30cm程ずれている箇所が、複数ヶ所あった。

②コンクリートの大梁・小梁の数ヵ所にコア抜きがされて
 内部の鉄筋が切れていて、
 その部分の鉄筋が錆びていた。

③構造スリット部のタイルに伸縮目地がなく、
 また、平面図に記載された構造スリット部分にスリットがない。
 平面図に記載されている完全スリットがないことに
 大きな疑問が感じた。

④1階住戸のバルコニーに、雨水が冠水して
 室内の床全体に流れ込んで浸水して、
 施錠されていた玄関ドアの隙間から外に流れ出ていた。

ひどく驚いて、
「この状況をおまかせ建設会社に連絡しないといけない。」
と私は思ったが、
その行動を思いとどまった。

素人目にもわかるずさんな工事をしていることに
プロが気づいていないわけがない。


構造上の疑問が出たことを連絡しても
私が建築に関しては素人であることを盾に取って
建築会社は、うまくごまかしてきて
丸め込まれるのではないかと思ったからだ。

どうすれば、相手にきちんと対応してもらえるだろう?
と、考えあぐねた。

そのや先、松本コンサルタントから、
「打ち合せしたい事がある」
と連絡があったので、
そのことを訴えるよい機会だと思って、
松本コンサルタントが待つ喫茶店に向かったのだった。

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