そして、松本コンサルタントからも話があった。

私は、ハイセンスデザイナー建築事務所のデザインで
契約をしたつもりだったが
おまかせ建築会社の営業担当の安田は、
「おまかせ建築会社の基本パッケージで契約をした認識だった」
と言ったので、驚愕した。

おまかせ建築会社の基本パッケージというのは
(自社で推奨する賃貸マンションの建て方)のことで
私は、そんなものを発注していない。

 それに、この
「基本パッケージ(おまかせ建設の標準仕様)」
 というものが大変曲者で、
 この後裁判になったときに、
 ややこしい話になっていった元凶となったのだった。
 
 第一、この「基本仕様」の内容がどんなものか、
 こちらはまるで何も知らされていなかったし、
 建設会社からも、全く説明がなかった。
 存在そのものすら知らなかった!

「基本パッケージで契約」
 という向こうの勝手な認識だけで、
 おまかせ建設会社は、そのことすら契約書に書かず
 私と契約をかわしたのだった。
 これは詐欺ではないかとさえ思える。
 それに、この契約書に、明細はない。
 ずる賢い。
 どんなものなのかは契約書に書かれていないため
 もめたときに、あと出しで、
 「こんな仕様で、見積もりましたよ」と
 好きな様に仕様を書き換えることができるのである。
 私の契約書に
「基本パッケージ」の文字はないのにである!

 私の発注したマンションはアドルフ氏のデザインなので
 当然、おまかせ建設会社の「基本パッケージ」の建物とは全く違う。

その後、作業しながら、
基本パッケージに追加していった
という考えの基に、追加料金を算定していったらしい。
そのため、2500万円の追加料金を
施主である私に請求しないといけなくなり
そのことを伝えた、と松本コンサルタントは涼しい顔をして言った。

本来なら、デザインは
ハイセンスデザイナー事務所に頼むと
私から希望を聞いていたので
事務所と連絡をとり、
その要望通りで費用概算を出してから
その金額で資金計画を立て、
請負契約をするべきだったが、
松本コンサルタントの契約段階での作業手順がまちがっていた。


私、坂井氏、松本コンサルタントの話を聞いた上で、
契約段階での認識のずれがあったことを
おまかせ建設会社は認めた。

おまかせ建築会社としては
「契約段階での認識の相違があったこと」
「安易に自社の標準パックで契約を取り交わしたこと」
を口頭で認めたのだ。
そして、
「梁のずれと、後からあけてしまっている穴によって
耐震性に問題が発生していないか、計算しなおす」
と、言った。

中山専務は
「渡辺さんがおっしゃりたかった
話の内容は、お聞きました。
でも、今日の話し合いで、こちらの対処法を口頭で伝えても
後から『言った』『言わない』の
水かけ論になるかもしれないので
今日聞いた話に対する会社としての対策方針を
2,3日中に書面にて、
渡辺さんとデザイナー事務所に送らせていただきます」
と、返答をしたので
一応その場は収まった。