土地契約は
松本さんの紹介でA仲介会社を通して行われた。
土地代は4000万円かかった。
全額自己資金で用意したので
コンサルタント料と合わせて、相当な出費となったが、
これもまあ、理想のマンションを建てるための
必要経費であるだろうと理解した。

私は土地を手に入れたことで
最初の大きなハードルを越えたと思った。

いよいよ建築会社を決める段階に入ったぞ。

建築会社については、
私の予算や理想にぴったりの
建築プランに出会いたかったため
できるだけ多くのハウスメーカーを接触して
比較しようと思っていた。

松本コンサルタントは、
「建物概略計画案」をコンサル契約する前に見せてくれたが
それは、自分の知り合いであるおまかせ建設会社が
サービスで作ってくれたものだと
説明してくれていた。

その案をたたき台にして
ハウスメーカー巡りをしようと考えていたのだが
なんと松本氏は、
ハウスメーカー巡りはしなくてよいと言い出したではないか。
「建物概略計画案」をつくってくれた
「おまかせ建設会社」を猛烈に推してきたのだ。

その「おまかせ建設会社」の名前は聞いたこともなかったし
私には譲れない条件があったので躊躇した。

それは建物デザイナーのことだった。

松本氏とはコンサルタント契約を結んでいたが、
実はデザイナーは知人に頼もうと思っていたからだ。

その知人のセンスのよさは抜群で
大変私好みだった。

これから賃貸マンション経営をする私は
普通のマンションではなく
自分が住みたくなるマンションを建てたいと
ずっと考えていて
建てるならハイセンスデザイナー建築事務所の
アドルフ坂井デザイナーに建物のデザインを頼むと決めていた。
アドルフ氏にも内諾を得ていた。

だから、それに対応してくれる建築会社にしか
施工を頼めないのだ。


そこで、松本コンサルタントに
 「このデザイナーでの建物をつくりたい、
  それの対応が可能な施工会社を探してください」
と伝えたら、
松本氏はにやりと笑って
  「おまかせ建設会社は、デザイナーの件も
  対応できます」
と即答したのだ。