おまかせ建設会社の中山専務と話をして
「会社の対応を2.3日中に書面で回答する」
と言われ、その書面を待っていたときに
ハイセンスデザイナー建築事務所の
アドルフ坂井氏から聞いた話は驚くべき内容だった。

今思えば、松本コンサルタントが間に入っていたことが
私が直接、坂井氏と話をするという選択をとらなかった理由だと思う。
言い訳になってしまうが
おまかせ建設会社に坂井氏も一緒に乗り込むまで
私は、あまりハイセンスデザイナー事務所に連絡をしていなかった。

「建築の方は、私がデザイナーと建設会社の橋渡しをして
ちゃんと進めるから
拓也くんは、部屋を満室にする努力をしておいてや。
こっちは任せといて。
分業して進めるのが、効率いいからな」
と言う松本さんの話を鵜呑みにして
賃貸経営者としての行動に専念していた。

最初に、マンションをどういうデザインにするかという
打ち合わせは念入りに行ったが
それ以降、そのデザインが反映された建築が進んでいるとばかり思っていたから
デザイナーに連絡をすることはなかった。

ただ、建築工事の遅れが気になり
様子を見に行って、いろいろ問題点があることに気づいただけだった。

おまかせ建設会社に出かけた時に
アドルフ坂井氏から聞いた話は耳を疑うものばかりだった。

「デザインの話は渡辺さんと詳しく話を詰めましたが
後は、松本貴之氏が建築会社との間に入るとのことだったので
それ以降は渡辺さんには連絡しませんでした。
私もこの業界で長く仕事をしていますが
それはもう、耳と目を疑うことばかりです」

ため息をつきながら、
坂井氏は今までの経緯、困りごとを説明してくれた。

(1)
おまかせ建築会社とはなかなか連絡がとれず、
やっと連絡が取れたときでも、
一度たりとも時間通りに打ち合わせに来たことはなかった。
30分、1時間待ちもザラ。
当日連絡なしでのドタキャンも、数え切れず、
来るだけましと考えるしかなかった。

(2)
私は日本で30年間デザイナーとして
いろんなゼネコンとやり取りしてきたが、
ここまで時間にルーズで、舐めた態度をとる会社は初めて。
普通の会社ではないと感じている。

(3)
施工図面が上がっておらず、
まだなのかと思っていたら、
デザイナー側の承諾もとらずに
エントランス回りを作り始めていた。
あわててデザインをみてみると
私がデザインしているものとは
違った施工がされている。
図面はないのに、作っている。

そもそも、図面がない状態で
どうやって作業を進めているか不思議。

(4)
現場に現場事務所がなく、
話をしたくても、落ち着いて話せる場所がない。
なんだかわからない図面が地面に散らかっていたり、
施工が間違っていたりしているが、
正しい指示をしている人間がいない。
監督責任が果たされていないのではないか。

(5)
「メゾネット部分の梁がずれているが、
施主の渡辺氏に説明しているのか?」
と現場監督の米村氏に聞いたら、
「それはもちろん、施主さまに説明します」
と答えたので、安心した。

しかしそれから約二か月たっても、
おまかせ建設会社から何も連絡がなかった。

梁がずれたら、デザインも変わるから
どうしても渡辺さんと相談しないといけないと思い、
私から渡辺さんに
「梁がずれていることで
デザインを変更しないといけないけれど
どうしたらいいのか、何も連絡がないから心配している」
と連絡したら
渡辺さんは、梁のずれのことを知らなかった。
現場監督は、梁がずれていることを渡辺さんに伝えておらず
ずれたまま、建築を続けていたことが発覚した。

(6)
あちこち穴が開いているが
鉄筋もろとも開けてしまっている穴に関しては、
むき出しになっている鉄筋が錆びることにより、
そこから浸食が進むことがあるので、
さび止めをきちんと施しているかを
渡辺さん自身の目で確かめた方がいい。