デザイナーの指示を取り入れず
自社の「標準パック」(自社独自で作成しているらしい建築)で
見積もりを出し
図面も見積金額明細も
施主には渡していなかったことを認めたおまかせ建設会社。

それどころかマンションの構造自体に
大きな問題があるのではないかと指摘したら
根幹部分が見えないように隠してしまっているのを見て
私は困り果てた。

工事を中止して欲しいという要請も無視。
工事の疑問にも何も返答をしてくれない。

私はわらにもすがる思いで
かつて参加させてもらっていた「賃貸住宅経営の会」
の講師をしていた吉野さんに相談をすることにした。

マンション経営をすることを決める前に
私はあちこちのセミナーに参加して
経営のノウハウを学んでいたのだ。

そこでは、大家としての心構えや
注意事項を教えてもらっていたので
建築のトラブルを相談することに対して迷いはあったが
吉野講師はとても気さくな方で
当時もいろいろ質問していたため
思い切って連絡をとり、話を聞いてもらった。
吉野さんは、
私がサラリーマンをしていた時に住んでいた県在住の方である。

吉野さんは心配してくれて
「それはかなりややこしいことになっていますね。
ただ、私は、渡辺さんのお住まいとは離れているので
そちらに見に行くこともできないし
具体的に行動を起こすことは難しいから
実際に賃貸住宅をたくさん所有しておられて
今渡辺さんのマンション建築地に
近い所に住んでいる人に相談するのが
よいかと思います。
とりあえず『賃貸住宅経営の会』の会長、満月さんに
相談してみたらどうでしょうか?」
とアドバイスをしてくれた。

それで、満月さんにこのことを相談したら、
なんと満月さんは、
おまかせ建設会社社長と知り合いだという。

私からのいきさつを聞くなり
「そんなことをしていると
おまかせ建設会社も信用を失う。
私が話をしよう!」
と言って、満月会長がひと肌脱いでくださることとなり
おまかせ建設会社の中山社長に
連絡をしてくださったのだ。

事態は急速に進展した。
さすがに満月会長の威光はすごかった。

満月会長ががおまかせ建設に連絡をしてくださったところ、
あれだけ催促しても
一ヶ月間、何も連絡をしてこなかったし
前は会社に呼びつけられたのに
なんと私の家に
おまかせ建設会社の中山社長が来ることになったのである。